《27》サービスのメニュー化-2

まいど!

今日は平日に積み残した家事を地味に消化してました。
そして、今日のエントリも地味な内容です。

それでは【サービスのメニュー化】についての続き。

昨日は具体例として家庭教師の先生をあげましたが、
今日は(ぼやかした記述ですが)実際の導入例について。

まず、商品・サービスの前提条件として以下の項目があります

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・システムは共通だが、マスタデータを顧客ごとにカスタマイズして納品。
・サービス稼働時、マスタデータの初期登録は会社側作業。費用は有料。
・サービス稼働後、マスタデータの変更はユーザが可能。
・サービス稼働後、マスタデータの変更依頼があれば当社が無償作業。
・マスタデータにはコアとなる設定があり、その変更をすると、全面的に
他のマスタデータの変更が必要。
・コアデータは初期値から変更できないと十分な告知・同意をいただいた
上でマスタデータの初期登録をする。
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ただ、サービス稼働後にコアデータを変更したいというご依頼がごく一部のユーザ(0.5%程度)からあり、その場合、無償で変更作業を行っていたのですが、顧客側・企業側のどちらにも課題を残していました。

具体的には
・事前に十分な検討がされないままの依頼が多く、変更をしたものの運用にあわず元に戻す事が多い。
・企業側の作業工数が大きく、有償の初期登録とほぼ同等の作業を無償で行う負担感。
といったところです。

そこで【サービス稼動後のマスタデータ変更は無償】というサービスを、
【コアデータを除くマスタデータの変更は無償】にして
【コアデータの変更:○○円】というメニューを作りました。

この【サービスのメニュー化】変更後に実感できたメリットは2つ。

・有償サービスなので、本当にその変更が事前に十分検討していただけて、変更後のミスマッチが減らせた事。
・受益者負担が明確化ができた事。

他にも(私の実体験としては持っていませんが)以下のようなメリットもあると思います。

・顧客にそのサービスメニュー(商品)を認知してもらえる
・こんな事お願いしていいのかな?と迷っている顧客がサービスを遠慮せず頼みやすくなる

ちなみにこの変更だけを見ると顧客にとっては単なるサービスの劣化ですが、他サービスの値下げと組み合わせて提案する事で、特に不満の声などは寄せられませんでした。この値下げの原資はコアデータの変更の有償化による収益です。

企業のサポートコストはサービスを利用しない顧客・利用する顧客をひっくるめての売上から捻出されます。サービス利用者(受益者)にサポートコストを負担していただく事で、サービスを利用しない顧客へ価格・別のサービス等でその分を還元できます。

「某A社はサポートをインシデント制(有料)にして、まったく顧客の事を考えない企業だ」という話をたまに聞きますが、それはユーザの事をかんがえるからこそ、サポートを必要とするユーザに対して負担をお願いすることで、サポートを必要としないユーザの負担を軽減する良い仕組みだと私は思います。

もちろん「サポートは全て無償」とする考え方に対しても、わかりやすさや追加料金のかからない事などに対する安心感等の違った利点があると思いますし、「サポートの費用はコストではない、顧客との関係性への投資だ」とするザッポスが圧倒的な顧客満足を背景に劇的な成長をとげている事も事実です。

ただ、私の場合は「受益者負担」という考え方が一番しっくりくるので、いまはサービスをメニューにして代金を頂く事は良い仕組みだと思っています。

なんだか堅苦しい文章にはなってしまいましたが、サポート部門に勤務する者として「どこから自分の給料は出ているのか」という事を忘れないためにも、サービスはメニュー(商品)であるという事をしっかり考えていきたいと思います。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

今回のエントリは「顧客はサービスを買っている」から多くの影響を受けています。

・サービスのプロセス分析による生産性の向上
・事前期待のマネジメントが顧客満足の土台

といったサービスサイエンスの視点からサービス業を分析した本で、個人的には去年読んだ本で一番のヒットでした。

顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント/諏訪 良武
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